糖尿病と合併症・糖尿病とがんについて

糖尿病の合併症

糖尿病の合併症糖尿病になり、血糖値が高い状態(高血糖状態)が続くと、血流が悪くなったり、血管が詰まったりして、全身の血管がダメージを受けて様々な合併症を引き起こすことがあります。

特に影響を受けやすいのが毛細血管で、これが集中する網膜、腎臓、手足では初期のうちから影響を受けやすく、それぞれで起こる合併症を「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」と言い、糖尿病の3大合併症とされています。これら以外にも、太い血管がダメージを受けて「心筋梗塞」「狭心症」「脳梗塞」などの重篤な疾患を招く恐れがあります。

糖尿病の合併症は、「糖尿病になる可能性が高い」と指摘された時(糖尿病予備軍:境界型糖尿病)、また糖尿病と診断された時から5~10年程度の年月をかけてゆっくり進行していって現れるとされています。
糖尿病の3大合併症のうち、糖尿病網膜症は視力低下さらには失明糖尿病腎症は腎機能の低下さらには腎不全、そして糖尿病神経障害は手足の感覚麻痺さらには壊疽に繋がる場合があり、生活の質(QOL)の低下を招くことになります。

こうした事態を避けるためにも、高血糖状態を放置せずに専門医へご相談頂き、適切な治療を受けるようにしましょう。専門医のサポートを受けて、正しい知識を持って血糖コントロールに取り組めば、合併症を予防し、健康な方と同じような生活を送ることが可能となります。

糖尿病網膜症

高血糖状態が長く続くことで、網膜にある毛細血管で異常が起こり徐々に視力が低下していく合併症です。進行すると最悪の場合、失明にいたることがあります。糖尿病網膜症は現在、緑内障に次いで日本人の成人発症中途失明原因の第2位とされています。

失明にいたることのある恐ろしい合併症ですが、早期発見・早期治療すればそれを食い止めることが可能です。ですが、「眼科で定期的な検査を受けていない」などの要因で失明にいたるケースが多いようですので、糖尿病の方は気になる症状がなくても眼科で年1回の定期検診を受けるようにしましょう。

糖尿病腎症

高血糖状態が長く続くことで、腎臓にある糸球体(しきゅうたい)という毛細血管が集中しているところで異常が起こり、腎臓の機能が低下してしまう合併症です。進行すると腎不全にいたる恐れがあり、これは糖尿病患者の死因の約1/4を占めると言われています。

腎不全になると、失われた腎臓の機能を補うために透析治療(人工透析装置を用いた治療)が必要になることが多く、糖尿病は透析治療が必要になる一番の病気とされています。
糖尿病腎症は明確な自覚症状がないまま進行していきますので、予防するためには尿検査などで定期的に腎臓の機能をチェックすることが重要となります。

糖尿病神経障害

高血糖状態が長く続くことで、末梢神経がダメージを受けて手足の感覚の異常、麻痺、しびれ、痛み、冷えなどの症状が現れる合併症です。糖尿病の合併症の中でも、特に起こりやすいものとされています。
進行すると痛みが慢性化するほか、感覚の低下が原因で外傷や火傷に気づくのが遅れて、足潰瘍や足壊疽を起こし、切断にいたるケースもあります。

※当院では定期的な神経障害の評価、腎症の評価を行っております。
動脈硬化の評価はABIや頸動脈エコーで確認しております。
連携先の画像センターにて脳の精査(頭部CTやMRI)も可能です。

糖尿病とがんの関係

現在、日本人の2人に1人ががんにかかり、6人に1人が糖尿病とその予備群と推計されています。無関係にみえるこの2つの疾患には、意外にも密接な関係があることが分かっています。2013年5月、日本糖尿病学会と日本癌学会から合同で糖尿病の人のがんにかかるリスクについて発表がありました。
日本人約33万人のデータから、糖尿病を過去に経験したことのある方または現在糖尿病の方は、糖尿病にかかったことのない方に比べて、がんを発症するリスクが、男性では約1.27倍女性では約1.21倍高く、肝臓がんに1.94倍膵臓がんに1.85倍大腸がんに1.4倍罹患しやすいことがわかりました。

予防法にも多くの共通点がある 

がんになる原因は、高インスリン血症、酸化ストレスなど様々な説がありますが、肥満、運動不足、不適切な食事(赤肉、加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、過剰飲酒、喫煙なども関係していると考えられています。
食生活の改善や運動は血糖コントロールだけでなくがんの予防にもつながります。 具体例として、禁煙、休肝日を設ける、脂肪の多い食事の摂取は控え、食事内容と量に注意することが大切です。運動はウォーキングや水泳などの有酸素運動がおすすめですが、高齢の方は散歩など軽い運動だけでもかまいません。

専門医療機関、がん検診の受診が重要 

定期的ながん検診をおすすめしていますがんは早期発見が非常に重要になりますので、糖尿病の方は定期的ながん検診を心掛けましょう。特に女性や会社勤めを辞められた方は健康診断を受ける機会が少ないため、がんを見落とす確率が高くなってしまう傾向があり注意が必要です。
当院では、糖尿病専門医消化器病専門医が常に連携して糖尿病の診断と治療、がん検診を行っておりますのでいつでもお気軽にご相談下さい。

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